「表現の楽しみ方」

ついつい映画や芝居を観た時、メッセージ性とか、自分が理解出来たかどうか…とかで良し悪しを決めてしまいがちだけど、それって勿体無い見方かも、なんて…ある二本の映画を偶然立て続けに観て、ふと思った。

作品には、メッセージなんて元から無いかもしれない。
それを作った意図があったとしても…僕と監督とは他人。意図を汲めない事なんてあって当然。強烈なメッセージがあっても、自分に分からない事もある。
同じく、作品の中の人物…それは自分とは違う人。登場人物の行動が自分に100%理解出来るなんてとこで評価するのも、ナンセンスなんやろう。

良し悪しは、理屈じゃないんやな。

もちろん人物を理解出来たら感情移入もし易いし、メッセージがどぉーんと伝わったら充実感半端ないけど、理解出来なくてもメッセージ性感じなくても、引き込まれ心を掴まれる事はある。

「息もできない(2008)」と「ダンサーインザダーク(2000)」

賛否両論が明確な2作品。
賛否意見両方よく分かって、面白かった。

「寺山修司とフランキー仲村」

特殊詐欺、311の震災、政治への鬱憤、老人介護、生きるとは!?とか死ぬとは!?とか愛って…とか、今時の社会問題から今も昔も変わらない泥の様に重く溜まった人間が生きるテーマみたいなものがボクシング絡みのシーンとSEXシーン、あと菅田将暉の叫びで表現される映画。
まさに怒涛の様に。散々たぎらせて、悶えさせて、あとは自分で考えろ!!って良い意味で乱暴な感じの映画。

時代は変わっても人間の根本は変わらない。

これは寺山修司の唯一の長編小説の映画化だそうで、それを現代にアレンジしたもの。前編後編の二部制で、今日は二本立て。9:10に身始めて見終わったの14時半。なんか感情で溺れそうだった。
で、何故か…何故かフランキーさんの作る雰囲気を、特に後半に強く感じた。
寺山修司を詳しくは知らないんだけど…
フランキーさんと寺山修司の共通点か…(笑)。
出てるキャスト、みんなよかったな。

「ゴールデンスランバー」

こういう楽しみ方もいいな…
原作読んで、その日に実写を観る。

最近、小説やマンガ、アニメのドラマ化・映画化が多いけど実写化のハードルって高いよね。
漫画やアニメはイメージのマッチングが大事。小説になると、人によって違うだろうし。ストーリーも原作が大作であればあるほど、どこをどう削るか圧縮するか、はたまた開き直って原作とは切り離すってするか…
でも、実写化は絵の説得力がプラスされるから、ハマると感動倍増するなぁ。
映画「ゴールデンスランバー」の伊東四朗は主人公を演じる堺雅人の父親。原作で描かれてる大切なエピソードがカットされて出番も2回のみ。なのに、描かれてるシーンは原作とほぼ同じセリフだけなのに、先に端折った気持ちも伝わるお芝居でめちゃくちゃ良かった。
これ、またカットが逆効果だとガッカリ倍増なんやろな…
ファンの期待感が高い分、実写化は役者もスタッフもプレッシャーだと思う。

この間の関ヶ原もそうだし、無限の住人も東京喰種も亜人もそう。亜人なんて…漫画との切り離し方が潔かった。

原作から入るか、実写から入るか…
好み分かれるだろうな。